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メタン生成菌:メタンのおならを生む古細菌

腸内ガスのすべてが細菌から生まれるわけではありません。メタン生成菌と呼ばれる太古からの単細胞生物の一群が、ヒトの腸の奥深くで静かに水素をメタンへと変え、おならのにおいや浮き沈み、さらには腸の動く速さにまで影響を与えています。

メタン生成菌とは何か

メタン生成菌は細菌ではなく古細菌というドメインに属する微生物で、進化的に非常に古い系統です。沼地や水田、深海の熱水噴出孔、動物の消化管など、酸素のない環境で繁栄します。ヒトの大腸で最も優勢なメタン生成菌はメタノブレビバクター・スミシー(Methanobrevibacter smithii)で、人によっては嫌気性微生物全体の最大一割を占めることもあります。食べ物を発酵させる細菌とは異なり、メタン生成菌は炭水化物を直接分解しません。代わりに、細菌の発酵によって生じる副産物、主に水素と二酸化炭素を取り込み、それらを結びつけてメタンを作り出します。シントロフィー(共生栄養)と呼ばれるこの代謝上の協力関係は水素濃度を低く保ち、微生物群集全体をより効率的に働かせます。成人のおよそ三割から五割が、呼気やおならから測定可能なメタンを出すだけのメタン生成菌を腸に抱えています。

腸内でメタンが作られる仕組み

メタン生成と呼ばれるメタン産生の生化学は、地球上で最も古いエネルギー生成経路の一つです。メタノブレビバクター・スミシーは水素分子四つと二酸化炭素一つを取り込み、補酵素Mという補因子が関わる一連の酵素反応を通じて、メタン分子一つと水を作り出します。水素を絶えず吸い上げることで、メタン生成菌は水素の蓄積を防ぎます。そうでなければ、高い水素濃度が細菌の発酵を大きく鈍らせてしまいます。その結果、腸内はより静かで効率的な生態系になります。メタンそのものは無色無臭なので、メタンを多く含むおならは臭いものではありません。あの悪臭はまったく別の微生物が作る硫黄化合物によるものです。メタンは空気より軽い一方で、より重い腸内ガスと混ざり合うため、メタン生成菌の活動はおならの浮力や音の性質にも影響します。

メタン生成菌、便秘、そして健康

科学者たちは、腸内メタン生成菌が豊富なことと腸の通過が遅いこととの関連をますます指摘しています。メタンは腸の平滑筋に直接作用し、蠕動(ぜんどう)の速度を下げて便秘を促すと考えられています。この関連から、呼気検査でメタンが高値を示すときに診断される「腸内メタン生成菌過剰(IMO)」という臨床像が認められるようになりました。IMOは便秘型の過敏性腸症候群の人によく見られ、お腹の張りや残便感を伴います。メタン生成菌の量と体重との関連を報告する研究もありますが、その証拠はまちまちで、確立にはほど遠い状況です。確認されたIMOに対して、医師は細菌と古細菌の両方を標的とする特定の抗菌薬を、時に食事の調整と併せて用いることがあります。重要なのは、メタン生成菌を抱えていること自体は健康な多くの人にとってまったく普通のことで、それだけで病気を意味するわけではないという点です。

メタンを測る・管理する

腸内メタン生成菌を調べる標準的な方法は水素・メタン呼気検査で、糖液を飲んだうえで一定の間隔をおいて装置に息を吹き込みます。大腸で作られたメタンの一部は血液に吸収されて肺から排出されるため、呼気中の濃度は古細菌の活動をのぞく便利な窓となります。過剰なメタンの管理は、たいてい食事から始まります。低FODMAP食によって発酵性の炭水化物を減らすと、メタン生成菌が頼りにする水素の供給が減ります。定期的な運動と十分な水分補給は健康な腸の通過を支え、結果としてメタンの便秘作用を間接的に抑えます。プロバイオティクスや一部の植物成分は、メタン生成菌の集団を調整できるかどうか研究が進められていますが、すべての人に効く単一の方法はありません。多くの人にとって、メタンを作る古細菌はバランスの取れた腸内細菌叢の、ごく自然で生涯にわたる一部にすぎません。

知っていましたか?

豆知識

メタンガスは便を沈めずに浮かせることがあり、メタンを多く作る人は自分の便が水面に浮かんでいるのに気づきやすい傾向があります。

出典

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